食いしん坊のクローゼット
エッセイスト | 「今日もていねいに。」

食いしん坊のクローゼット

025 ウォルター・ボッセの「青いクマさん」


子どもの頃からの好きな食べ物の中に、ゆで卵がある。ぱらりと塩を振りかけたり、マヨネーズをつけたり、くずしてサラダに加えたりとどんな食べ方をしてもおいしいゆで卵。
月に一、二度、郊外の農家に卵を買いに行く。新鮮な卵でつくるゆで卵を朝食に食べると、なんてぜいたくなのだろう、と思う。ゆで卵を作って、エッグスタンドにのせる。上手な半熟で作れたときは、トーストしたパンの耳を黄身にひたして食べる。フランスで覚えた「ウフ・ア・ラ・コック」だ。
殻をむくときの心地よい手応え。つるりと現れる白い卵は、いつ見てもきらきらして、こちらの気持ちまで澄んでいく。スプーンですくうと黄色い宝石が顔を出す。なんてことのない朝なのに、そのひと口が今日を励ましてくれる。
エッグスタンドは、オーストリアの工芸作家、ウォルター・ボッセが作るマジョルカ焼きの青いクマ。寝転がったクマが、手と足を使って卵を支えているのが微笑ましい。もう何年も我が家の食卓にいるから「青いクマさん」と呼んでいる。
朝の食卓に「青いクマさん」がいると嬉しい。

 

食いしん坊のクローゼット

001 三時のおやつに菊皿      
002 アスティエの角皿        
003 リーサ・ハッラマーのデザート皿 
004 1930年代のカフェオレボウル    
005 「if」のピューター皿
006 白磁の茶椀
007 木の平皿
008 ブルーウィローの皿
009 安南焼の茶碗
010 成田理俊のステンレス皿
011 サーラ・ホペアのコップ
012 仲村旨和のカッティングボード
013 レモンの木の小皿
014 マルック・コソネンのバスケット
015 スティーブ・ハリソンの皿
016 鳥獣戯画の盛鉢
017 ラッセル・ライトのカレー皿
018 木曽ひのき漆器の弁当箱
019 欅の千筋茶碗
020 パリの買い物
021 アラビアのライス
022 沖縄の「やちむん」
023 ハルデンワンガーのセラミック皿
024 ベニントンポタリーのマグカップ
025 ウォルター・ボッセの「青いクマさん」

松浦弥太郎

著者プロフィール

エッセイスト
松浦弥太郎

2002年、セレクトブック書店の先駆けとなる「COWBOOKS」を中目黒にオープン。2005年からの9年間『暮しの手帖』編集長を務める。その後、IT業界に転じ、㈱おいしい健康取締役就任。2006年より公益財団法人東京子ども図書館役員も務める。ユニクロの「LifeWear Story 100」責任編集。「Dean & Delucaマガジン」編集長。他、様々な企業のアドバイザーを務める。映画「場所はいつも旅先だった」監督作品。著書に「今日もていねいに」「しごとのきほん くらしのきほん100」など著書多数。

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