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食いしん坊のクローゼット

オイシサノトビラ

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018 木曽ひのき漆器の弁当箱

弁当箱が好きだと言うと笑われるかもしれない。小さな箱の中にご飯やおかずをきっちり詰めた見た目というか、その完成した様がたまらないのです。
作った人が食べる人のことを想って、これとこれをこんなふうにと考えることから生まれる愛情のかたちとも言える、弁当箱のふたを開けたときの喜びは誰しもあるだろう。
ということで、ぼくにとって弁当箱も器のひとつ。どこかに持っていくときだけでなく、今日の昼はお弁当でランチしようと、朝、おかずやごはんを詰めておく。それを持って近所の公園で食べてもいいし、部屋の中で食べてもいい、自分で詰めておきながら、やっぱりふたを開けたときには笑顔が浮かんでしまう。ニコっと。
ちなみにお弁当の中身でいちばん好きなのは。鳥そぼろご飯。おかずは前の晩の残り物少しと梅干しで十分。味が混ざることを想定して、どれとどれを隣合わせするのかを考えるのも楽しいし、そのおいしさもお弁当の妙なのです。
弁当箱は、木曽ひのきに漆を塗った小ぶりなもので、木地師の村地忠太郎さんが作ったもので、もう二十年くらい大切に使っています。漆器の弁当箱だなんて、ぜいたくの極みであるけれど、この弁当箱で食べるごはんのおいしさは格別だから仕方がない。梅干しひとつの、日の丸弁当でも最高においしく思える器であり、手に持ったときの心地よさは、なんとも言えない最高のしあわせでもある。


 

食いしん坊のクローゼット

001 三時のおやつに菊皿      
002 アスティエの角皿        
003 リーサ・ハッラマーのデザート皿 
004 1930年代のカフェオレボウル    
005 「if」のピューター皿
006 白磁の茶椀
007 木の平皿
008 ブルーウィローの皿
009 安南焼の茶碗
010 成田理俊のステンレス皿
011 サーラ・ホペアのコップ
012 仲村旨和のカッティングボード
013 レモンの木の小皿
014 マルック・コソネンのバスケット
015 スティーブ・ハリソンの皿
016 鳥獣戯画の盛鉢
017 ラッセル・ライトのカレー皿
018 木曽ひのき漆器の弁当箱

連載

オイシサノトビラの扉

オイシサノトビラ

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「おいしさって、なんだろう?」をテーマに、その人の生きる素となるような食事との出合いやきっかけをつくることを目指しています。

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