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パリの空気

連載

パリの空気


日常のおいしい喜びを、人に伝えられるようになりたいという川村明子 さんと、彼女らしさの素をつくる、パリでの生活や旅先での食事。

めぐり逢い

めぐり逢い

1か月の半分ほどは、お昼ごはんにサンドイッチを食べている。その日に食べたサンドイッチのパンの種類にもよるのだけれど、それで、おやつはなるべく小麦粉の割合が少ないものを選ぶようにしている。小麦粉の摂取が...

クレープの日

クレープの日

たとえば、普段の会話の中で「ビタミン摂らないとだね」と出てきた場合、そのビタミンは、CかE、口内炎ならB6、貧血やめまいだとB12なんかが対象だったと思う。たまにビタミンAというのも聞くことがあったか...

3.3cmの日記帳

3.3cmの日記帳

昨年の11月に、分厚い日記帳を買った。1日1ページのその日記帳は布張りのハードカバーで、2024年9月から2025年12月までの16ヶ月分が綴じられている。厚みを測ると3.3cm。メモのための白紙のペ...

トルティージャの縁

トルティージャの縁

高校3年の時、当時付き合っていた同い年のボーイフレンドにお弁当を作ったことが何度かあった。私は女子校で、彼は男子校だったから、登校途中に待ち合わせをして渡したり、一緒にピクニックに出かける日に作ったり...

冬の土の香り

冬の土の香り

土曜の朝、いつものマルシェに行った。日の出時刻は8時半過ぎで、目が覚める時にはまだ外は真っ暗だ。それで、週末はベッドから抜け出すまでウダウダする時間がちょっと長くなる。明るくなってきたら起きよう、と思...

先生のこたえ

先生のこたえ

パリオリンピックの開幕を数日後に控えたある日、高校3年時の担任の先生からLINEが届いた。「パリ五輪のときには行けませんが、やっと行けることになりました。5年ぶりです。最後のパリ訪問になるかもしれませ...

パリで食べたロンドンの味 ーパリ篇ー

パリで食べたロンドンの味 ーパリ篇ー

ロンドン篇はこちら ロンドンからパリに戻った5日後。私は、ル・ドワイヤネに向かった。今度は、カフェ・セシリアに一度行ったことのある、パリに住む友人と一緒だ。果たして、時間ごと味わった店の料理が、全く異...

パリで食べたロンドンの味(後編)

パリで食べたロンドンの味(後編)

前回のつづき2年で6回もカフェ・セシリアに行ったのは、日本からやってきた友人たちのリクエストがあってのことだ。そもそも、2年間で5回ロンドンを訪れたのも、友人に合流したことに端を発する。最初にきっかけ...

パリで食べたロンドンの味(前編)

パリで食べたロンドンの味(前編)

10月の終わりにロンドンへ行った。気づけば、2年前の10月から、もう5回目だ。ほぼ半年ごとに訪れている。何かプロジェクトでもあるように思えるが、仕事でもなんでもなくて、ただ、楽しむことが目的だ。もっと...

辿り着いたブリオッシュ

辿り着いたブリオッシュ

以前は、初めてのパン屋さんに行くとまず、クロワッサンとバゲットを買っていた。最近は、少し違う。ここ数年通っている店は主にバゲットを作っていないし、うち3軒はクロワッサンもない。理由は、パン製造に使う麦...

季節を詰めた瓶

季節を詰めた瓶

8月の終わりから2週間ほど、日本に帰国していた。パリに戻った翌朝、光の気配がどこにもないなか目が覚めた。スマホを手に取り天気アプリを開く。気温は11度、日の出は7時20分らしい。夜が明けるまではまだ...

夏のパリが好きだ

夏のパリが好きだ

夏のパリが好きだ。多くの人がバカンスに出かけ、路上駐車をするにも難なく場所が見つかり、通りを行き交う人の数が目に見えて減って、街が静かになる。私の暮らすエリアは住宅街だから、その傾向が顕著で、曜日の感...

苺の知らせ

苺の知らせ

たしか7月の上旬だったと思う。いつも花を買うマルシェの生花店で、ラベンダーとカシスの葉を包んでもらっている時に、苺の小さな鉢が目に入った。その店は、スタンド右手に切り花が並び、左手に植木や鉢植えの花を...

鴎の鳴き声と、海辺の声。

鴎の鳴き声と、海辺の声。

──── パリは7月になってもスプリングコートを羽織る日々が続いていましたが、下旬になってようやく、夏の日差しも顔を出すようになり、海に行ってきました。いつもパリは5月の終わりとか6月の始めくらいに一...

ヴェルサイユからの誘い

ヴェルサイユからの誘い

春の訪れを感じ始めた頃、「パリじゃないところに引っ越そうかと思う」と言っていた友人が、いよいよ引っ越したことを、3週間ほど前に知った。「ヴェルサイユに引っ越したの?」「そう!まだ家は片付いていないけど...

ロンドンとパリとグリーンサラダ

ロンドンとパリとグリーンサラダ

半年ぶりで、ロンドンに行った。東京からやってきた友人と現地で集合し、よく歩きよく食べた。食材は知っているものなのに、組み合わせ方に馴染みがなかったり、それ故にハッとするような味わいとの出合いもあったり...

アイスクリームの時間

アイスクリームの時間

4月から、新しい習慣ができた。 金曜日に、アイスを食べに行くことだ。そのアイスクリーム屋さんは、去年の春の終わりに出現した。店舗を持たず、パティシエであるオーナーがそれまで働いていたコーヒーショップの...

季節の実験

季節の実験

この季節を待ちわびていた。グリーンピースが出てきて、アスパラガスがそろそろ終わりを迎える時期。もう少し夏が近づくと、茄子やパプリカが登場し、野菜売り場の色彩が賑やかになる。その前の数週間、淡い緑の野菜...

語り合ったフリット

語り合ったフリット

10日ほど、日本に帰国した。滞在も終盤に差し掛かったある日、口の中に唐突に甦ったパリの味があった。その味が、ぽっと口の中に現れた時、「あ、パリの味だ」と思ったのだ。それは、フリット(フライドポテト)だ...

24.04.12

24.04.12

「元気ですか?」 川村さんから、お便りが届きました。パリの空気を、動画でお届けします。 ※音を出せる環境の方は、ぜひパリの音とともにお楽しみください。

ジュリアンのヒント

ジュリアンのヒント

渡仏記念日のお昼は、どこかで少しゆっくり過ごしたいなぁと思っていた。かといって、どこどこに行きたい!という強い願望はなかったし、具体的なイメージも湧いてこなかったから、当日、時間が許すようなら、その時...

人生を刻む日

人生を刻む日

いつか会いたい、と思っていた人に、会えることになった。「これ、私が参加するイベントの招待状! 会えたらうれしい。来られるようなら、ぜひ教えて」。メッセージを送ってきたのは、当の本人だ。実際に会ったこと...

ミモザといえば、卵。

ミモザといえば、卵。

土曜の朝、いつものマルシェに行った。 着いて最初に急いだのは、卵を買うスタンドだ。ノルマンディー地方の農場からやって来る羊乳と山羊乳のフレッシュチーズを並べるその店は、前日に産み落とされたばかりの卵を...

花瓶と夢。

花瓶と夢。

ある週末、友人からメッセージが届いた。アート系の本を主に扱う書店で、彼女がこれまでコレクションしてきたアンティークの花瓶を販売するという。花一輪を添えて。なんて素敵な企画だろう。「行くー!」と即答した...

片付けの時間。

片付けの時間。

──── 古物市で、長らく探していたものとの出合いがありました。 片付けていたら、家で、友人たちとワイワイ食卓を囲みたい気持ちが湧いて来て、想像し始めたら、誰かを想ってごはんを作りたくなり、そしてお腹...

マイナス5℃の朝。

マイナス5℃の朝。

朝の気温がマイナス5℃だった、1月のある火曜日。日の出時刻は8時40分で、だから、8時を回ったとはいえ外は暗く、気温が上がる気配も一向にない。それでも、その寒さを半ば楽しむような気持ちで、出かける支度...

おめでとうのお裾分け。

おめでとうのお裾分け。

なぜか、クリスマスが近づいてくるとロンドンに行きたくなる。賑やかな街の様子、大皿で焼かれるパイ料理、いろんな人に送りたくなる瀟酒なクリスマスカード、スパイスの効いたクリスマススペシャルブレンドの紅茶…...

明日の朝ごはん、なに食べようかなぁ。

明日の朝ごはん、なに食べようかなぁ。

初めて訪れたのは、夏の始まりだった。 去年の夏至にオープンしたそのファームレストランは1周年を迎えたところで、その2日後に、満を持して、遠足気分で出かけた。 いつ行けるかな、とずっとタイミングを窺って...

初めての店、始まりの店。

初めての店、始まりの店。

あるレストランの記憶インスタのストーリーズを流れるままにして見るともなしに見ていたら、懐かしさを覚える、デザートの並ぶ棚が現れて目を止めた。あれ? これ、どこだ? と思うや次の画像に移ってしまい、慌て...

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