
「今日もていねいに。」
食いしん坊のクローゼット

エッセイスト
松浦弥太郎

012 仲村旨和のカッティングボード
食器棚の中には、大小のカッティングボードもある。僕にとってカッティングボードはお皿でもあるからだ。北大路魯山人の作品に「織部まな板皿」という、その名のとおり、まな板のかたちのお皿があるが、使いようによっては、木製のカッティングボードはとてもすぐれたお皿として重宝する。僕は長年、糸島の木工作家、仲村旨和さんのカッティングボードを使っている。木材はぬくもりのあるコナラや楓、樫や桜の木を使っていて、どれも木目が実にうつくしい。朝食時に、スライスしたパンを並べたり、焼き菓子やチーズ、ドライフルーツを盛ったり、お皿としての使い方は自由。その場で切り分けることができるのがいい。テーブルの上にカッティングボードがある景色はとても外国ふうで、いつかの旅が心に思い浮かんで、あたたかくも嬉しい気持ちになる。

食いしん坊のクローゼット
001 三時のおやつに菊皿
002 アスティエの角皿
003 リーサ・ハッラマーのデザート皿
004 1930年代のカフェオレボウル
005 「if」のピューター皿
006 白磁の茶椀
007 木の平皿
008 ブルーウィローの皿
009 安南焼の茶碗
010 成田理俊のステンレス皿
011 サーラ・ホペアのコップ
012 仲村旨和のカッティングボード
013 レモンの木の小皿
014 マルック・コソネンのバスケット
015 スティーブ・ハリソンの皿
016 鳥獣戯画の盛鉢
017 ラッセル・ライトのカレー皿
018 木曽ひのき漆器の弁当箱
連載
「今日もていねいに。」の扉

エッセイスト
松浦弥太郎
少しちからをぬき、キホンを大切にする松浦弥太郎さんと、彼ならではの素をつくる、くらしと食事。
扉の記事