
「今日もていねいに。」
食いしん坊のクローゼット

エッセイスト
松浦弥太郎

014 マルック・コソネンのバスケット
フィンランドのキッティラで見たオーロラの美しさが忘れられない。今か今かと待っていると、巨大なカーテンが突然、夜空にうごめきながら現れた。オーロラは音楽を奏でるかのように消えては現れを繰り返し、緑やピンクといった様々な色彩をも放った。あの夜のキッティラの森の香りも忘れがたい思い出だ。 フィンランドの木工作家にマルック・コソネンがいる。わが家には、彼が作ったとても貴重な柳のバスケットがひとつある。ある日、友人にキッティラの旅の話をしたら、「あなたが持っていたほうがいい」とプレゼントしてくれた宝物だ。スパイスの缶を置いたり、季節のフルーツを盛ったりしている。指で押すと、生きているかのように、ゆらゆらと揺れて、ぼくを楽しませてくれる。そのたびに友人のことやキッティラの旅をぼくは想うのだ。

食いしん坊のクローゼット
001 三時のおやつに菊皿
002 アスティエの角皿
003 リーサ・ハッラマーのデザート皿
004 1930年代のカフェオレボウル
005 「if」のピューター皿
006 白磁の茶椀
007 木の平皿
008 ブルーウィローの皿
009 安南焼の茶碗
010 成田理俊のステンレス皿
011 サーラ・ホペアのコップ
012 仲村旨和のカッティングボード
013 レモンの木の小皿
014 マルック・コソネンのバスケット
015 スティーブ・ハリソンの皿
016 鳥獣戯画の盛鉢
017 ラッセル・ライトのカレー皿
018 木曽ひのき漆器の弁当箱
連載
「今日もていねいに。」の扉

エッセイスト
松浦弥太郎
少しちからをぬき、キホンを大切にする松浦弥太郎さんと、彼ならではの素をつくる、くらしと食事。
扉の記事