イタリア撮影とその記憶。
──── 「今回のテーマを一言でいうと、旅と時間です」と話はじめた在原みゆ紀さん。海外撮影で訪れたイタリアの話を聞いた。
トランジット12時間
海外での撮影はどのような撮影だったのですか?
「あるブランドのコレクションの撮影です。場所はイタリアの南部で、期間は3泊5日。滞在が短い上に、日本からイタリアへの直行便ではなく、途中トルコのイスタンブール空港のトランジットが12時間。移動時間がとても長かったんですよ」。
空港に約半日の滞在は大変ですね…。どう過ごしたのですか?
「予定を聞いたときに、どう過ごそうかと迷いました。12時間あれば、街の見学ツアーにも参加できますし、ホテルに行って休むこともできます。いろいろ迷った結果、最終的には空港にそのままいることにしました」。

出かけるかを悩んで、行かなかったのですね。
「そうですね。トランジットの時間は自由に過ごしても良かったので、時間の使い方を考えると、いろいろ行けたのかもしれません。ただ、もしなにかあったらスタッフに迷惑をかけてしまうと思ったのと、この12時間の過ごし方次第では時差ボケなど体調にも関係してくると考えて、出かけませんでした」。
特に時差ボケになりやすいとかではないものの「イタリアから帰国した翌日に仕事が入っていたので、時差ボケや体調に気をつけたいと思っていました。わたしはふだんから朝昼晩と三食しっかり食べるので、海外でそのリズムが崩れてしまうと、その後の仕事にも影響してくると思ったんです」と気をつけた。
仕事への影響を第一に考えて睡眠や食事の時間を調整し、空港を歩き回ったのだろう、「わたし、イスタンブール空港案内できますよ」と話してくれた。いかにも彼女らしい前向きな表現だと思った。
体内時計と固定観念
時差ボケ対策をする中で「わたしって・・・」と感じたことがあるという。
「日を浴びるとカラダが起きるということもよく言われますが、朝起きて食べもの物を咀嚼するとカラダが起きるということも聞いたことがあったので、そのリズムが崩れないように、機内食や空港での食事を摂る時間は意識していました。イタリア着の往路では、できるだけイタリアの時間で過ごすように。(着いた日はやや時差ボケがありましたが)そのおかげか、あまり時差ボケの影響はなく撮影に挑むことが出来ました。イタリアに滞在している間は、日が昇って落ちていく光や視覚で感じる時間帯に合わせて、ちゃんと食事を摂るように調整して。わたしにも体内時計がきっとあって、それは日を浴びるとか睡眠だけでなく、いかに食事が大事なのかということを感じました。あー、わたしはやっぱり食に支配されてる」と言って笑った。

「あともう一つあります」と話してくれたのは、「海外に行ってよくあるのが、視覚で見た食と食べた時のギャップ」について。
「今回もそれを感じました。パッケージにプロテイン20gと書いてあるヨーグルトを買って食べてみたら、実はカスタードプリン!どう思い返しても乳製品コーナーに並んでありましたし、しかもプロテイン20gって書いてある。これはプロテイン入りのヨーグルトだと思って食べるじゃないですか。で、ちゃんと見たらカスタードプリンって書いてありました。カスタードプロテインプリンって・・・」。

「今まで日本にいる中で、自分の中で固定概念を作ってしまっているなと。このコーナーにあるものはこれ。プロテイン何gって書いてあったら、これはヨーグルトだっていう思い込み。イタリアでも何度かやられてしまいました。チョコレート味のヨーグルトだろうと思って買ったら、シンプルにチョコレートのデザートだったり。これ、こう来る?みたいな。だからこそ、もう一度試してみたくなるみたいな感じです。そういう食事との出会いもおもしろかったです」。
「この見た目だからこういう味だなっていう先入観は良くないなと思いました。これからは食事に対する固定概念をなくさないといけないですね」と、楽しかった話を自分の学びに変えていくことも、また彼女らしい。
韓国の仕事もするワケ
日本の仕事もかなり忙しいのではないかと思います。日本だけでなく、韓国の仕事をするモチベーションについても話してくれた。
「素直に、韓国が好きだからということが一番の理由です。なにか特別なきっかけがあったということではなく、幼少期の頃からドラマの影響などで韓国を好きになりました。俳優さんやK-POPなどのカルチャーも好きですが、韓国の何かが好きというよりも、韓国という国そのものが好きなんです」。
「多くの韓国人の方々がSNSでわたしをフォローしてくれていることも嬉しいです。韓国に行くと喜んでくれるんです。撮影で韓国に行くときは、実は遊んだり好きなものを食べたりはほぼできないのですが、それでもまた行きたいと思わせてくれます。依頼内容はさまざまですが、韓国に行けるというだけで幸せな気持ちになれます」。

「韓国への関心や生きてきた中での記憶に、韓国が何かあるんです」という気持ちに、日本や韓国ということではなく、幼いときからドラマや音楽で見聞きした場所にいるだけ。それは意味があるということではなく、彼女にはとても自然なことなのだろう。
韓国人の撮影チームとの仕事も長くなってきた。
「コロナ禍の前からなので、もう5年くらいになるかもしれません。今回の宿泊先はホテルのような場所ではなく、共同生活ができる宿だったので、合宿のような経験。チームで海外遠征行ってきたな、という感じです」。



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