食いしん坊のクローゼット
エッセイスト | 「今日もていねいに。」

食いしん坊のクローゼット


010 成田理俊のステンレス皿

鍛造作家・成田理俊さんとの出会いは偶然だった。休日の散歩途中、ふと古い雑居ビルに一室にあるギャラリーに立ち寄ると、そこで彼は東京で初めての個展を行っていた。もう15年くらい前のことだ。鉄を鍛造して作った小さなフックや燭台がとてもすてきだった。手のひらに乗るくらいの大きさで、フライパンの形をした燭台を買った。それから数年後、彼は実用的な鉄のフライパンを作るようになり、そのていねいな手仕事が認められるようになった。そんな彼のいつかの個展で出会ったステンレス皿がある。「ステンレスの皿はむつかしくてなかなか作れませんが、とてもきれいなんです」と成田さんは照れるように言った。それからずっと、もっぱらサラダ皿として重宝している。無骨に見えるが、料理を盛るととても美しい。夏のビーチコーミングで集めた石を置いてみると、また違った表情を見せて、なんというか、成田さんのやさしい人柄が表れた、とてもいい作品のひとつだと思っている。

 

食いしん坊のクローゼット

001 三時のおやつに菊皿      
002 アスティエの角皿        
003 リーサ・ハッラマーのデザート皿 
004 1930年代のカフェオレボウル    
005 「if」のピューター皿
006 白磁の茶椀
007 木の平皿
008 ブルーウィローの皿
009 安南焼の茶碗
010 成田理俊のステンレス皿
011 サーラ・ホペアのコップ
012 仲村旨和のカッティングボード
013 レモンの木の小皿
014 マルック・コソネンのバスケット
015 スティーブ・ハリソンの皿
016 鳥獣戯画の盛鉢
017 ラッセル・ライトのカレー皿
018 木曽ひのき漆器の弁当箱
019 欅の千筋茶碗
020 パリの買い物
021 アラビアのライス
022 沖縄の「やちむん」
023 ハルデンワンガーのセラミック皿
024 ベニントンポタリーのマグカップ
025 ウォルター・ボッセの「青いクマさん」

松浦弥太郎

著者プロフィール

エッセイスト
松浦弥太郎

2002年、セレクトブック書店の先駆けとなる「COWBOOKS」を中目黒にオープン。2005年からの9年間『暮しの手帖』編集長を務める。その後、IT業界に転じ、㈱おいしい健康取締役就任。2006年より公益財団法人東京子ども図書館役員も務める。ユニクロの「LifeWear Story 100」責任編集。「Dean & Delucaマガジン」編集長。他、様々な企業のアドバイザーを務める。映画「場所はいつも旅先だった」監督作品。著書に「今日もていねいに」「しごとのきほん くらしのきほん100」など著書多数。

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